治療後について
治療後の流れ
治療後は病室に戻りますが、その後も看護スタッフは、血圧測定などによって患者さんの状態を綿密に観察し、見守ります。心電図モニターを取り付け、心臓の働きを継続的に監視する場合もあります。患者さんがベッドに横になっている間に、看護スタッフがカテーテルを挿入した部位の状態や、足と腕の脈拍を確認します。
そけい部(足の付根の部分)/大腿動脈法で処置を行った場合は、治療後、数時間ベッドで安静にします。シース(短い管)は、通常、治療後に抜去します。シースが入っている間と、抜去後の6時間は、ベッドで仰向けになり、シースの入っている足を真っ直ぐにしたまま、動かさないようにします。シースを抜去する時は、医師または看護スタッフが20~30分間または出血が止まるまで、挿入部を圧迫します。この後で出血することはほとんどありませんが、挿入部に生暖かい、濡れた感触がしたり、鋭い痛みを感じたら、すぐに看護スタッフをお呼びください。ベッドに横たわり、安静にしている間は、看護スタッフの指示に従ってください。看護スタッフや医師の指示が出るまで、起き上がらないでください。動脈からの出血を防ぐために、安静にしていることが大切です。(安静時間は病院によって異なります)
腕または手首から治療を行った後は、起き上がることが許される場合と、数時間、安静しているように指示される場合とがあります。
治療後は、冠動脈に注入した造影剤が排出されるため、排尿が頻繁になります。また、造影剤の排出を促進するため、水分を摂るように指示されることもあります。尿器の使用やトイレ等、助けを必要とする場合は、看護スタッフを呼ぶようにしてください。ベッドでの安静時に背中が痛くなった場合は、看護スタッフが治療に使わなかった方の足を曲げたりベッドの角度を少し上げて頭を高くするなどして、痛みを和らげるよう対応します。それでも痛みが収まらない時は、痛止めの薬をもらいましょう。
治療直後は、胸部に多少の不快感や痛みを感じますが、1、2時間でなくなります。痛みがひどくなったり、一度おさまった痛みが再び戻ってきた場合は、すぐに看護スタッフにお知らせください。検査の結果、拡げた冠動脈に問題が生じた可能性がある場合は、退院前に再度、冠動脈造影をすることがあります。治療後30分以降に胸痛を感じることは、通常、ありません。
治療後、12~24時間以内には歩くように指示されます。最初にベッドから下りる時には、看護スタッフが付き添います。
退院前に、冠動脈疾患の危険因子について、医師や看護スタッフに説明を受けるとよいでしょう。生活習慣や食事内容を改善する場合は、無理のない、具体的な目標を立てることが大切です。
治療後の生活
退院時に、医師から生活、食事、薬の服用についての指導があります。その際、最低1週間は、重い荷物を持つなどの激しい運動をしないようにという指示を受けることがあります。また、いつから通常の活動や仕事に復帰できるかについても助言されます。退院後も薬の服用は、治療の一環として大変重要です。内服治療は治療した血管内で血液が固まるのを防いだり、血管の攣縮(れんしゅく)を予防するのに役立ちます。薬を服用して不快感を感じた時は、医師に連絡し、指示に従ってください。
退院後は、医師に指示された日程どおりに通院してください。医師は、治療後の経過を詳しく観察し、検査を行って、治療した冠動脈部位が詰まらずに、十分な血流が保たれているかどうか確認します。質問がある場合は、医師にお尋ねください。
治療が成功し、無事に退院した後に問題が起ることはほとんどありませんが、患者さんによっては、冠動脈の狭窄が再発することがあります。この状態を「再狭窄」といい、ほとんどが治療後3ヶ月~6ヶ月に発生します。退院後に胸痛を感じたら、再狭窄の初期症状の可能性があるので、直ちに医師にご連絡ください。
回復過程
治療が完全に成功した場合でも、治療後に患者さんが自分の健康状態について不安を感じるのは当然のことです。退院後、患者さんご自身とご家族の方々が新しい生活習慣に慣れるまでには時間がかかるかもしれません。
冠動脈インターベンション術に必要な入院期間は比較的短いですが、通常の日常生活に戻るのに時間がかかる人もいます。
回復期においては、ご家族が患者さんの生活状態を見守ってあげることが大切です。治療後、患者さんは健康な状態に戻ったように感じるかもしれませんが、無理をせず、過度の運動や活動は控えたほうがよいでしょう。
生活習慣の改善
退院の際、医師は薬を処方するほか、生活習慣の改善について指導します。ご家族の方々においては、患者さんが新しい日常生活に慣れ、適度な運動と食生活の改善を続けることに対して気を配り、健康の回復に協力していただくことが大切です。一番好ましいのは、ご家族の方々も適度な運動と低脂肪の食事を心がけることです。このような生活習慣は、冠動脈疾患の患者さんだけでなく、私たち全てに健康をもたらすものです。
冠動脈インターベンション術は、冠動脈疾患を完全に治癒するものではなく、あくまでも一つの手段にすぎません。健康的な生活習慣を身につけることが、回復をうながし、再発の可能性を減らすのに役立つのです。
※ 一般的な例としてあげてあります。
